分ける知恵
不動産の二つの四分法

  「一つの籠に全部の卵を盛らない」とは、華僑の諺で財産を一種類のものにしておかず、何種類かに分散しておけという生活の知恵です。
昔から財産の三分法というのがあり、それは現金・預金、有価証券、不動産の三つに財産を分けておくことをいいます。今の日本人の財産はその8割が不動産であるといわれております。しかしこの最も大きな割合を占めている不動産の中味については、あまり深く考えられていないのが現状です。不動産もただ漫然と持っていれば良い時代から、どういう「質」の不動産を、どの位の「量」所有するのかを、十分考えて持つ時代になってきたのです。
日本は今バブル経済崩壊を通過してフロー経済の時代からストック経済の時代へ入ったばかりの所であり、このストック経済初期の段階ではストック(資産、特に不動産)は、国の経済成長とともに、その価値がゆっくりと自然に増大していくといわれています。
財産形成ゲームでは、今後5年あるいは10年の間には、やはり以前と同様、不動産を持つものが勝ち、さらに、どこにどんな不動産を持つかによって、より大きな勝利がもたらされることとなるでしょう。
そこで私は、日本人の財産の8割を占める不動産を、2種類の四分法によって、この勝負(!)に勝つための作戦を練りました。
その一つは「種類」の四分法です。不動産の種類を自宅・事業所・収益物件(家賃収入のある不動産)そしてリゾート物件の四つに分けます。
他の一つは「地域」の四分法です。不動産の所在により地元・東京・地方主要都市・そして、海外の四つに分けます。
これを次頁のようなマトリックスにします。
一般には、種類は自宅、地域は地元で各々100%となる場合が多いと思います。                          (モデル−1)
自営業の場合、種類は自宅と事業所、地域は地元と東京となるかもしれません。                          (モデル−2)
こうして、このマトリックスで自己の所有する不動産を、時価評価によって現状分析します。


次にその所有する不動産の全体量に応じながら各人のライフスタイルや個別事情、あるいは相続対策を考慮して不動産の種類と地域の分散を図ります。
収益をうまない自宅が量的に多ければその敷地の一部にアパートを建てて収益物件化する。あるいは、その一部を売却してアパート一棟物を買う。
生活の豊かさを実現し、また相続対策を兼ねるならば、借入してリゾート物件を買うのも良いでしょう。
また、自宅、事業所(店舗)、収益物件がすべて地元にあるという場合、そのどれかを売却して、またはそれらの物件を担保に借入して、東京あるいは地方に収益物件を所有します。さらに、円が非常に強い時期であれば、海外不動産も良いでしょう。お子さんの留学に合わせて下宿用のマンションを買うのも一つの方法です。(彼我の国の税法の違いを活用した節税も場合により可能です。)
モデル−3は、自宅−地元、事業所−東京、収益物件−地方で各々30%とし、リゾート物件を海外に10%求めてみました。また、モデル−4は、自宅を20%に抑えて、収益物件を50%と比重をかけ、地域としては地元と東京に各々40%、地方に20%としてみました。



こうして、このマトリックスによって、各人の人生観、ライフスタイル、また、自営業であれば会社経営の事情に従って、その所有する不動産の種類と、地域を分散するというのが「不動産の二つの四分法」の考え方です。
こうして、ただ漫然と不動産を所有するのでなく、合理的にかつ積極的に、種類と地域を分けて所有して、ストック経済時代におけるストックの増大を目指すとともに、不測のリスクにも対処しておくことが肝要です。

(株)ハート財産パートナーズ 林 弘明


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